先日福岡ドームで行われたB’zのコンサート「LIVE-GYM Pleasure 2018 -HINOTORI-」の二日目に参加した。
今回はデビュー30周年の記念すべき年のコンサート。
この日をどれだけ待ち望んでいた事か。
しかし今回はある事で、内心不安でいっぱいだった。
理由は初日に参加した友人からのメールだった。
コンサート開始の一曲目でボーカル稲葉の声が全く出ておらず、いつものハイトーンボイスはガラガラ声。
見るからに苦しそうな歌い方で、ついに三曲目でコンサートが中断したという衝撃的な内容だった。
しばらくの中断後、稲葉がステージに現れ、会場の観客に声の調子が悪いことを謝罪。
もしこのまま歌えなくなり中断したらお金は返金し、必ずまた埋め合わせしますと告げたそうだ。
しかし中止はせず、そのまま全力で約2時間半、全19曲を歌いきったとの事だった。
そんな連絡を受けての二日目。
今日は果たして喉の調子は大丈夫なのだろうか?と心配になりつつ、ドームの中でコンサートの開始を待った。
ところが開始時間になっても、コンサートがスタートする気配がない。
B’zのコンサートは毎回ほとんど押すことがなく、ほぼ定刻どおりに始まる。初日も押すこと無く始まったそうだ。
しかし10分、20分経っても始まる様子はない。
昨日の事を知っているファンは、おそらく皆、頭の中で「コンサート中止」という、考えたくない言葉が浮かんでいただろう。
そして30分が経った頃、女性のアナウンスが会場に響き渡る。このタイミングでのアナウンス。これはやはり中止なのか・・・そう思った。
だがそのアナウンスはこう告げたのだ。「コンサートを開催します」。その瞬間、会場中に歓声が響き渡る!そしてコンサートは無事にスタートした!
だがここでまた衝撃が走る。やはり稲葉の喉の調子は悪く、声がかすれて聞こえてこないのだ。
今まで何度もコンサートで彼の歌声を聴いてきたが、初めて聴くあまりの酷い声の状態に、会場にいる3万5千人の観客全員が「大丈夫なのか?」と思ったはずだ。
そして苦しい状態で一曲目を歌った後暗転、二曲目に行かずに間が空く。
もしかしたら途中で中止もあるのか? ドームが静まり返る。だがやがてステージが明るくなり、そして二曲目がスタート!
片手に水の入ったコップを持ち、何度も飲みながら歌うという、普通ではありえない状態で、それでも稲葉は全身全霊全力で歌を歌い続けた。
すると驚くことに徐々に声の調子が戻り始めたではないか!なんたるド根性!!そのまま本当に命を削るがごとくの凄まじい執念で全曲歌いきったのだ。
この二日目のコンサートは、初日のような謝罪や説明は一切しなかった。
そのため初めてコンサートに参加した方の中には「稲葉っていつもこんな感じなの?」と誤解した人もいるかもしれない。
あるいは中止にして、やり直した方が良かったのでは?と思った方もいるかもしれない。
でも稲葉はそうしなかった。なぜなら「まだ歌えるから」だ。
たとえ無様に見えてもまだ歌える以上、それを選んだのだ。
今回歌った曲で「juice」という曲がある。
その稲葉自身が書いた歌詞の一節。
「あついジュースふりしぼる ぶったおれるまでやりきる アドレナリン惜しまない 今日精一杯やるだけ」
有言実行とはまさにこの事。
今日ほどこの歌詞が心に響いたことはない。そのため気付いたらこの曲で自分は泣いていた。
デビュー30年目で体験する初めての大ピンチでありながら、逃げること無く覚悟を決めた本物のプロ根性。
一流のプロと呼ばれる方を見ると、もともと才能があるから、天才だからと、とつい言いがちだが、実際の彼らは、ただただ、ひたむきに最高の仕事をするために努力し続けている人間。だからこそピンチでも乗り越えられるだけの底力と経験を宿しているだ。
全力で頑張る「人」の姿は本当に感動できる。
それは別に有名人じゃなくてもだ。職場と同僚とか友人とか誰でもいい。
そんな人が誰か一人でもいたら、きっと人生頑張れるだろう。
僕は今回B’zから、またまた大きな感動をもらった。
そしていつか自分がそれを与えるようになりたい!
そう感じさせてくれた最高のコンサートだった。
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